【Novels】月日は百代の祝賀にて 第13話

The Month and day

 体育の授業がなんとか終わり、疲れきった体には二時間目以降の授業があまり頭に入ってこなかった。先生の声が自然と子守唄となり、うつらうつらとしていたら、ミミズが這ったような字がノートに書きこまれていた。
 そんな授業を三回ほど繰り返すと、午前の授業が終わり、待ち遠しかった昼食の時間になっていた。
「小綬、部活どうする?」
 体育の授業でショックを受けていた米登はこの数時間ですっかり持ち直し、いつもの調子に戻っていた。
 俺は米登と購買で買ってきた、よく見る典型的焼きそばパンを食べながら、米登と今後の学校生活について相談している最中だった。
「正直特にやりたい部活がないからな……、米登はやっぱりバスケ部に行くのか?」
 まだ口に含んでいるのにせっかちな性格の米登が話し出す。こっちに飛ばすんじゃないぞ。
「まあそうだな、此間バスケ部見てきたし、活気もあって活動自体も真面目にやってそうだからな」
 米昇は小学生、まあ正確には小学校入学と同時にバスケットを始めて、以来ずっと続けている。性にあっていたから続いたのかはわからないが、今では俺の背丈をこすまでになったからな。
「……そうだな」
 そう聞いた俺はどうするか考えていたが、これと言ってやりたいこともない。やりたくないことに時間も使いたくない面倒くさがりな性格が頭を出す。
「ただ、勉強だけに学校に来るって物足りなくないか?」
「確かにそうだけどさ」
 何度か頭を巡らして未来の充実した学校生活をシミュレーションしてみても、米登の言うように勉強だけの学校生活はやはり寂しいものだろうと想像はつく。
「この間の部活紹介でしっくりくるものはなかったか?」
「部活紹介か……」
 米登の言葉につい先日催された部活紹介の出来事が頭を巡った。
 正直思い出したくないことも記憶を掠めたが、もう一度思い返せば興味を魅かれる部活動があるかもしれない。さて、どんなことがあったんだったか。

 始業のチャイムが鳴り、普段であれば一時間目が始まるこの時間。大勢の生徒たちが教師たちに先導され体育館に向かっていた。
 照明のついてない体育館は薄暗いが窓ガラスから差し込む強い光が視界を十分確保してくれる。中に入るとすでに大勢の生徒たちが床張りを上履きで踏み鳴らしていた。
 徐々に雑多としていた生徒たちがアルファベット順に、各クラスごと右から男女で整列を始めていく。
「……はあ」
「何溜息ついてるんだよ、いいかげん覚悟を決めろ」
 俯き加減の俺に呆れた表情の米登が声を掛けてくる。

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